わがままモデル王子は危険な香り
「おうじぃ」

声が震えた

涙が目から零れると私は下を向いた

本人を目の前にして泣いてしまうなんて……

「莉緒」

ふわっと風がふいたと思ったら
桜嗣の香水の匂いが鼻腔をくすぐった

甘い香りが私を包む

そして王子の温もりが伝わってきた

耳からは王子の心音が聞こえた

「会いたかった」

王子の息が耳たぶにかかる

「私も…私も会いたかったよ」


< 146 / 212 >

この作品をシェア

pagetop