わがままモデル王子は危険な香り
「やっぱり……高野さん
私の言った意味を理解してないようね」

王子の車の前に、戸倉さんが立っていた

「桜嗣も、軽い言動は困るのよ
イメージダウンになるって何度言ったらわかるの?
桜嗣は部屋に戻りなさい」

王子は私から手を離すと、車のキーロックを外した

「俺は、俺のやりたいようにやる
あんたらみたいなマネに縛られたくないんでね」

「何度説明したらわかるの?
桜嗣は商品なのよ
イメージが大事なの
こんな女と遊んでるってマスコミに報道されたくないの

だから女の従業員は嫌だと言ったのに」

桜嗣と付き合うのってすごく大変なのかも

新城さんより、王子の行動には厳しそう

「私、桜嗣のファンなんです
だからお話をしたいって言ったらオッケーしてくれて
戸倉さんとお付き合いしているのは理解しました

でも好きな気持ちってそう簡単に変わるものじゃないですよね?
戸倉さんがいるからって、『はい』て気持ちを切り替えられない

2番目でも3番目でもいいからって思っちゃう
だって桜嗣ですよ?

今日は帰りますけど、諦めませんから」

私は王子と戸倉さんに背を向けた

こう言えば、悪いのは私になるから、王子が戸倉さんに責められることはない

私は走って、ホテルを飛び出した

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