わがままモデル王子は危険な香り
「寝不足?」

オフィスで資料の整理をしていた私の背後から女性の声が聞こえた

私が振り返ると、長身の紫音さんがにっこり笑っていた

ボーイッシュの格好がすごく素敵だ

なんだろう……
ボーイッシュなのに女性らしさがにじみ出ている

凄いなぁ

「紫音さん、どうしたんですか?
担当部署はこの先の……」

「わかってるよ
ただ莉緒さんの背中が寂しそうに見えたから
入ってきちゃっただけ」

紫音さんがほほ笑んだ

「え?
あの…どうして私の名を?」

「桜嗣から聞いてるから…たく、あいつメールでデレデレメールばっか…送るから読んでいるこっちが苛々するんだ」

「え…ええっ?」

私は顔が真っ赤になった

王子と紫音さんってどんな関係なの?

「あ、誤解しないで
ただの仕事仲間だから

モデルのデビューが同じなんだ、あいつとね
同じ一之瀬ブランドの専属モデルとして……桜嗣はどんどん人気が出て、外の世界に出ていったけど

あいつ、6キロ太ったときに……ダイエットフードだけで痩せようとしてさ…
空腹でくらくらしてたからさ…
健康管理に詳しいヤツを紹介してやったんだ」

紫音さんの言葉に私は下を向いた

ダイエットフード2食と、カロリーの低い食事を少ししか弁当につめてなかった

王子は何も言わなかったけれど、大変な思いをさせてたんだ


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