わがままモデル王子は危険な香り
『莉緒、会いたかったよ
ずっと、ずっと……やっと会えた』

また聞こえた

腕を強くつかまれた

「やめてよ!」

私は痛さと怖さを堪えて、大きな声を出した

駅のホームにいる大勢の人が私の声に反応した

『なに?』
『え? 痴漢?』

なんて囁きが聞こえてくると、腕を掴んでいる感触から解放された

振り返って顔を確認するのが怖かった

私はその場に崩れおちた

怖くて、足に力が入らない

「大丈夫ですか?」

近くにいた女性が心配そうに声をかけてくれた

「あ…はい、ありがとうございます」

私は足に力をいれると、必死に立ち上がった

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