わがままモデル王子は危険な香り
おばさんが王子のマンションに駆け付けてくれた

化粧もせず、髪もぼさぼさなおばさんは急いで来てくれたのだろう

ソファに座って、苛々している王子の顔を見てため息をついた

「桜嗣、会見はダメだ
火に油を注ぐだけで、余計マスコミが好き勝手に書きまくる」

「じゃ、どうしろって言うんだよ
莉緒は何も悪くないんだぞ
なのに、あんな報道されて……外を歩けないじゃないか!」

王子は腕を組んで、息を荒くしている

王子の携帯が鳴ると、すぐに電話に出た

「あ?……あ、え、うん
休ませるから、ああ、フォローは頼む」

王子は電話を切ると、私の顔を見た

「姉貴からだ
仕事は来なくていいってさ
心配してた」

「あ…うん」

私はキッチンでお茶をいれていた


王子があんなに怒るなんて
驚いた

私は平気なのに

大丈夫だよ、王子


「桜嗣、今は黙って仕事をこなしなさい
すぐに報道もおさまるから」

「腹の虫がおさまらねえんだよ
あの女……好き勝手にしやがって」

王子はテーブルを蹴った

「桜嗣、落ち着きなさい」

「わかったよ
仕事はする」

ソファから立ち上がると、私のところに来た

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