わがままモデル王子は危険な香り
「また泣いてただろ?」

すっかり寝ていた私の頬に、桜嗣の指が触れた

冷たい指先に私は目を開けると、優しく微笑んでいる王子の顔を見てほっとした

「お…じ」

声がかすれた

桜嗣は床に膝をついて、私の前髪をいじった

「気にするなって言っただろ
俺は芸能界の中で生きてるんだ
スキャンダルは気にしない
どんなことを言われても、平気なんだ」

「桜嗣ぃ」

私は起きると、王子に抱きついた

桜嗣の甘い香りがふわりと香った

「桜嗣と一緒にいたいだけなのに……」

「いろいろ考えさせちゃった、か
俺も莉緒と一緒にいたいだけだ
そのためなら、何でもやれる
どんなことでも我慢できるんだ」

桜嗣とキスをした

桜嗣と離れたくない

桜嗣に愛されたい

私は激しく桜嗣の唇を求めた

噛みつき、そして胸の中で声を出して泣いた


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