わがままモデル王子は危険な香り
『自叙伝? 嫌だよ、そういうの
好きじゃねえし

…は? 売れるだろうね、俺が書けば…

ああ、確かにタレこんだよ
でもそれは、莉緒のためだ
過去を暴露して楽しいヤツなんかいるかよ

俺を責める前に、戸倉をどうにかしろ』

桜嗣の声が廊下から聞こえてきた

ベッドの中で私は目を覚ますと、携帯で時間を確認した

午後11時
誰と話をしているのだろう

『だから、自叙伝なんて書かねえよ』

廊下で、携帯を閉じる音が聞こえた

静かにドアを開けた王子が、ベッドの中に入ってきた

「桜嗣…電話だったの?」

「ああ、社長から
俺の過去がワイドショーで騒がれたから、緊急避難的に自叙伝を出せって
本人が書いた本なら、ファンも納得するって言うんだ
会見をしてさらって流すより、本を書いて金を稼げって言いたいんだろ」

「桜嗣、ごめんね」

「莉緒が謝る必要はない
それより痛くないか?
俺、結構無理やり突っ込んだから」

「え?」

桜嗣の言葉に、顔が熱くなった

泣きながら、王子に抱きついた

そして王子を求めた

私の求めに、王子が答えてくれた


痛かったけど、幸せだった
桜嗣も気持ち良いって言ってくれてうれしかった


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