わがままモデル王子は危険な香り
「今日は帰れよ
必ず連絡するから」

「本当に?」

「ああ」

「わかった」

女性はソファを立つと、私をちらりと見てから、王子とキスをした

舌と舌が絡み合っている

私は二人から視線をそらした

「あら?
嫉妬した?
モテる男だから、桜嗣って
他にも抱かれた女は大勢いるわよ」

「そうですか
そのうち誰が雑誌社に密告するのか
わかったときはお知らせください」

「ふん」

女性は私の顔を睨むと、すたすたと王子と一緒に玄関に向かった


王子が私に逆らえないのは、私のバックに社長がいるから

これ以上
女のことで問題があったら、ここから追い出されるから逆らえないのだ

ただそれだけ

私たちの間に

愛だの恋だのという感情はない

私は女性が玄関から出ていく音が、聞こえるなり、トイレに駆けこんだ

気持ち悪さが限界に達していた


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