わがままモデル王子は危険な香り
きっと精神的に受けるストレスって相当なものなんだろうな

「莉緒?」

王子が私の隣に座ると、触れ合いを求めてきた

私の鎖骨を中指の指先でなぞる
そのまま指先は肩を通り過ぎ、私の腕を触る

私の手に到着すると、王子は私の手を握った

握られた手は、王子の唇に持っていかれて、口づけをされた

ちゅっ

静かな部屋で、吸い付く音が響く

私の心臓が痛くなった

こんな王子、私は知らない

「マスコミ、マンションに来るかな」

私は甘い空気を壊そうと、話題をふった

ちゅくっ。

王子は私の人差し指を吸った

「部屋までは来ない」

私の指を口にくわえたまま、答えた

「んっ、ちょっと!」

「なに?」

「明日は朝が早いんじゃないの?」

「寝る?」

「寝るなら、わ、私は帰るよ」

「社長の帰りが遅いから、泊まるって言ってたじゃん」

「そ、そうだけど」

「一緒に寝よう、ほら」

王子が私の手を引っ張った
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