わがままモデル王子は危険な香り
呼吸が浅い…

寝汗の量も異常だ


私は額に浮かんでいる汗を
パジャマの袖で拭った

シングルベッドから
上半身を起き上がらせると

ヘッドボードに置いてある
目ざまし時計を確認した


午後10時

横になってから
30分も過ぎていない


長い前髪を強く引っ張り

ここが現実であることを
確認した

夢の中の恐怖はもう終わったと


この体に
この心に


私は知らせた



着替えようと
ベッドから足を出す

「いたっ」

私の下腹部に痛みが走った

パジャマのズボンを少しおろす

白い包帯から
血が滲んでいた


また傷口が開いたようだ

夢で刺された箇所と同じ場所



嫌な思い出が
思い出したくもない記憶の断片が

夢と一緒になって
私の脳内を支配する


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