わがままモデル王子は危険な香り
とたんに吐き気が催した

口元を押さえると
私はトイレに駆け込んだ


思い出したくない
考えたくない


なのに
ふとした瞬間に私の体を恐怖と不安が
襲ってくる

そのたびに
吐き気や腹痛となり

私の体が抵抗をした





もう忘れたい

いっそ記憶喪失になれたらいいのに



人は耐えがたいショックを味わうと
記憶の一部が抜け落ちるという




なのに私の記憶は


少しも抜け落ちていない



耐えがたいショックを受けたはずなのに



私の体は
私の脳は

今も恐怖を再現し続けた
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