わがままモデル王子は危険な香り
CMがあけると、画面に長身の桜嗣が映った

今朝来ていた服とは全く雰囲気の違う

衣装に身を包んで記者にマイクを向けられている

『今朝の新聞、見ました?』

フラッシュのたかれる中央に、桜嗣がすまし顔で立っていた

十数個のマイクが一気に、桜嗣の口もとへとつきだされた

「いきなりその話題ですか?
試写会ですよ、これ
映画の話をしましょうよ」

爽やかな笑顔で桜嗣が笑声をたてた

『映画は恋愛が中心でしたよね?
ご自身の恋愛と重なりました?』

桜嗣の口元が緩んだ

「どうしてもそっちに持っていきたがりますね
ブログの通りです
それ以上は言えません」

『どうしてです?
堂々と抱き合っているシーンを
見せつけられたら知りたくなりますよ』

勝手に写真に撮ったくせに、まるで桜嗣がいけないみたいに!

桜嗣が照れた顔で、後頭部を掻いた

「ああ…あれですか…
お恥ずかしい限りで」

桜嗣が軽く頭をさげた

王子が頭をさげる必要なんてないのに


「あまりお時間をとれないので
映画へのご質問がなければ……」

スポンサー側が口を挟んできた

桜嗣がスポンサーの顔を見ると、一歩横に移動した

『あ、待ってください!』

記者が桜嗣の行く手を阻んだ
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