わがままモデル王子は危険な香り
『写真の女性は恋人ってことでいいんですか?』
『ブログにあった「良い報告」って結婚ですか?』
『女性は業界の人ですか?』
『どこで知り合ったんです?』
『一緒に住んでるんですか?』

桜嗣が立ち去るのかと思った記者が、一気に質問を投げてきた

言葉が重なって、誰がどんな質問をしているのか
さっぱりわからない

桜嗣は愛想笑いを浮かべると、記者にお辞儀をした

試写会のスタッフに道を誘導してもらいながら、会場を後にしていった


映像がスタジオに戻ってきた

「あ~ん、核心には触れられませんでしたね」

女性キャスターが残念そうに言った

言うはずがないじゃん

どこかで私はほっとしていた

桜嗣が適当に、恋愛話をでっちあげるのではないか?
そんな思いがあった

イメージのために


桜嗣という商品を守るために

実際は何も言わなかった


どうしてだろう? と思いつつ

何も言わないで良かったと、肩の力を抜いている自分がいた




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