わがままモデル王子は危険な香り
私はテレビを消すと、ソファにごろりと横になった

何もしていないのに、どっと疲れが出た感じがした

意味のない人々の会話が、心に突き刺さっていく

テレビを見ているだけなのに、アナウンサーの言葉が
記者の質問が

私の体を
私の心を

ボロボロにしたように感じた

何もする気が起きない

テーブルの上に置きっぱなしの携帯に手をのばす

桜嗣のブログにアクセスした

『記者に囲まれた!

こんなにおおごとになるとは思わなかったよ
写真も撮られているなんて…あれは軽率な行為でした
プロとして自覚が薄かったと思います

俺ってさ、好きな子とはずっと一緒に居たいって思うほうで
時間が許す限り、傍に居て欲しいって思っちゃうんだよね

一方的な俺の感情で、各方面の方々にご迷惑をおかけしました
この場を借りて、謝らせてください
申し訳ありませんでした』

嘘ばっかり

私はため息をついた


それに桜嗣が謝るべきこと?

勝手に写真を撮って、勝手に新聞に載せた人が悪いんじゃん

私がブログを見ていると、携帯の端でメールを受信したと表示が出た
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