わがままモデル王子は危険な香り

甘い時間

私は旅行用の鞄を出してくると、王子の荷造りを始めた

すぐに出発できるように準備しておいてと、社長に言われていた

寝室のベッドの上に、大きな旅行鞄を乗せる

シャツやズボンを入れる
あとは王子愛用の化粧品や体のお手入れグッズなど

体が商品の王子だから、女性の旅行のように荷物が大量になる

社長が用意してくれた荷物のリストを片手に、確認しながら用意を進める

「う~ん、こんなもんかな・・・」

私は首を傾げた

「まだあるよ」

「え?」

私はリストを手に持ったまま振り返ると、王子が抱きついてきた

「莉緒を持っていかないと」

「は?」

「だから莉緒」

「もうこの鞄はいっぱいだから
他の鞄に莉緒を入れて
一緒に出かけるんだ」


「……無理です」


「本気で返答するなよ」

王子が額にキスをした

「帰ってたんですか?」

「ああ
ちゃんと声もかけた」

「そうですか」

用意に夢中で聞こえなかった


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