わがままモデル王子は危険な香り

恐怖と脅迫

『どうしたの?
なんで降りてこないの?
バラしていいんだ』

メールがまた届く

外に出るのは怖い
でも怖いからっていう理由で、王子のイメージを崩すわけにはいかない

私は携帯を持って立ち上がると、すぐに王子に電話をした

コール音が耳に響く

一回、二回とコールの数が増えていく

王子が出てくれるといい
王子の声が聞きたい

十回目のコールで
コール音が止まった

『ハーイ?』

出たのは女性だった
明るい声
透き通るような綺麗な響きだった

『おい、リザ、勝手に出るなよ』

電話の向こうで王子の声が聞こえた

『ああんっ、オージ、動かないでぇ
気持ちいいんだから』

気持ちいい?

甘い声が耳の近くで響く
ギシッと何かがきしむ音も聞こえた

何をしているの?
王子とリザっていう女はお楽しみの最中ってこと?

『リザ、携帯返せよ』

『嫌よ! オージの携帯は私のよ
早く動いてよ
奥まできて。早くぅ』

『その前に携帯だ』

『ダーメ! 隙あれば携帯でどこかに電話しようとするから』

『かかってきたんだろうが! エリザベス、返せ』

エリザベス?
もしかしてデザイナー?

愛称がリザ……

やっぱり王子とリザはそういう関係なんだ



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