わがままモデル王子は危険な香り
一番上の引き出しは鍵付きだった

古いタンスだったためか、私が引っ張るとカチャリと何かが引っかかったような感触があるものの、簡単に開いた


引き出しの中には色あせたノートが入っていた

私はノートを手に取ると、ベッドに座った

ぎしっとベッドがきしむ音がした

ノートは日記だった

書き手はこの部屋にいた少年と思われる

綺麗な字だった

書き出し日は10年前の5月3日だった

『母さんが壊れた
女と逃げたのは父さんなのに、父さんと似ている僕をここに閉じ込めて
父さんの罪を償わせようとしている
僕は父さんじゃない』


『5月13日
学校に行きたい
せっかく私立中に合格したのに一ヶ月しか通っていない
母さんが来ない平日は冷凍庫にある食事をとかして食べるだけ
1日たった1食
温かい食事が食べたい』


『7月7日
母さんが来た
僕を縛って無理やり抱いた
あれがセックスだと僕だってしってる
気持ち悪かった
気持ちの良い行為だと思ったけどいやな気分だけが残った』
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