わがままモデル王子は危険な香り
「達明を刺すつもりであの日は大学に行ったのよ
なのに、達明は生徒の後ろに隠れた
走って勢いがついてた私は
貴方を避けようと思ったのに…できなかった

そしたら達明が嫉妬に狂って貴方を殺そうとしたなんて言うから
私、達明が怖くて話を合わせてしまったの

私は達明と貴方がそういう関係だなんて全く知らなくて
達明がペラペラと浮気してたことを話して

私が貴方に嫉妬して犯行にうつしたって

達明の暴力から逃れたかったのだけなの
怖くて何度も逃げようとしたのに
達明は私を許してくれなくて
あの日も達明を殺すつもりだったなんて言ったら
私はもう……

本当にごめんなさい」


桜稀さんは涙を流して謝った

私は首を横に振った

なんか今なら、桜稀さんの苦しみがわかるような気がする

桜稀さんを責めるなんてできなかった
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