わがままモデル王子は危険な香り
「少年が閉じ込めれていた話しですか?」

「どうして知ってるの?」

「洋服ダンスに日記がありました」

桜稀さんの視線がタンスにいった

「その少年はね、私の弟だったの
母が死ぬまで、ここにいるのを知らなかった
弟は施設に預けられたとばかり思ってたから
母が一人で養っていくのに大変だからって
施設に行った日は……弟をここに閉じ込めた日だった

母が死んで
遺産相続の件で別荘に来たとき衰弱した弟を見つけたの

私の知っている弟じゃなかった
ずいぶん大人になっていて
でも知能は中学生並み
びっくりしたわ」

「弟さんは今は?」

「元気に生きてるわ」

「そうですか」

良かった
日記しか知らないけど

どこかで生きてるってわかって、ほっとした

顔も知らないのに


「貴方も知っている人よ」

「え?」

「一之瀬 桜嗣」

おうじ?


え?
王子が……この人の弟?




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