147cmで始まる世界
「お待たせしました。いちごパフェとアイスティーでーす」

「わぁー、おいしそう!」

「奏は何にもなしか?ハハッ」

「・・・すいません!コーラ!コーラ!」

「何二人とも意地張ってるの?」

「「うるせっ」」

ぷ。ハモった。

あたしはクスクス笑いをこらしめながら、いちごパフェに手をつけようとする。

と、先ほどとは違うウェイトレスが、何か薄いピンクの紙を持ってこちらに向かって来た。

「食事中失礼致します。ただいま、カップル限定のイベントを行っております。」

「・・・?」

「カップルで、こちらのパフェを頼みますと、二人の写真と、このパフェが半額になります」

「え、マジで!?」

「失礼ですが、この中にカップルはいらっしゃいますか?おられましたら、こちらのパフェがおすすめです。そちらのいちごパフェは、返品可能でございます」

「はいはい!俺等カップル!」

そう言って挙手したのは、奏君。

「・・・え!?」

あたしの顔がカァッと赤くなっていくのがわかった。

か、かかか、かっぷるぅっ!?

「な、何で」

「シィーッ。半額だろ?お得じゃん!」

「う、うん・・・」

もうアイスも溶けはじめていた頃だし、楓は居ないけど写真も撮れるから、お得だとは思った。

「では、こちらのパフェでよろしいですか?」

「はい。あの、さっきのコーラ取り消しでお願いします」

奏君は至って平凡。

恥ずかしいとか、ないのかな・・・?

「かしこまりました。こちらのいちごパフェはどうなさいますか?」

「えっ、あ、あの、返品しますっ」

「かりこまりました」

すごい噛みそうになった。

カップルって・・・。

恥ずかしいよっ!
< 17 / 20 >

この作品をシェア

pagetop