好きになる瞬間
11.
悲劇は突然やってきた。

しばらくケンイチからの電話もメールも来ない日々にナツコは悩んでいた。

夜も眠れない、

食事もあまりとらない、

今まで笑顔だったナツコなのに溜め息ばかりつく毎日だった。

ケンイチどうしたんだろう・・・

なぜメールくれないんだろう。

そんなある夜、

ショートメールが入った。

「オレシゴトヤメタ。

ダカラココデテイキマス。

サヨナラ。」

えっ?

さよなら?

何それ?

どういうこと?

ナツコはすぐに電話をかけた。

{一体どういうことなの?}

{ごめん、

俺はナツコが好きだけど

これ以上ナツコに甘えることはできないんだ。}

{じゃあ今までのあたしとの

付き合いって一体なんだったわけ?}

{・・・}

{やっぱおばさんだからうざいんだよね。

あたしだってケンイチなんてガキだし・・・

あーあすっきりする、

子守りも大変なんだから・・・}

{ひどいよ。

ナツコ俺のことそんな風に・・・

でもしょうがないよねそう思われても

俺ナツコにまじ甘えてたかもしれない。}

{あたし・・・

そんな風に思ってないよ。

まじ好きなのに

でもケンイチは

私なんてやっぱ相手にしていないと思うと

悲しいから強がってあんな風に言ったんだよ。

でもどうしてさよならなの?}

{俺このままナツコのそばにいるとナツコを傷つけてしまうから。

離れたくないよ俺だって。

でももう決めたんだごめん。}

{そんなこと言わないで。

私から離れないで。

自分から離れないって言ったじゃん。

好きなの大好きなの。

今からケンイチの所にいく!}

{だめだ!!}

{なんで会えないの?どうして?}

{・・・}

そうして埒のあかないまま電話は終わり納得いかないナツコは翌朝メールをしたが、

すでに電話を解約され、

ケンイチとの唯一の連絡手段も途切れ、

ナツコは一人振り回され一つの恋愛ごっこは

台風のように心の中を掻き乱していったのであった。

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