好きになる瞬間
4.
いつの間にかナツコはケンイチのことばかり考える毎日だった。

駄目だよ。

何やってんだろう。

仕事に集中しないと私らしくないじゃない。

でもケンイチ何してるかな?

ご飯食べたかな?

キャリアウーマンとしてバリバリ仕事をしていた頃のナツコではなく、どこか丸くなった。

人に対しても、仕事にしても、明るくなっていることは、自然に態度に出ていたようで、周りのみんなも気がついていた。

そんなある日ケンイチからのメールが夜中に入っていた。


「コンナヨナカニメールシテゴメンデモ、

ドウシテモナツコニキイテモライタクテ。

オレハ、

リョウシンガイナクテ、

イモウトガイルンダ。

ライゲツケッコンスルンダ。

オレガオヤミタイナモンダカラネ。

コンナオレデモイチオウアニキダシ、

イロイロヤッテアゲタインダ。」



ふーん優しいまじピュアな人なんだね。



「デモオレキョネン、

ジコッテメンキョトリケサレテサイアクナンダ。

コノケイタイモイモウトノメイギナンダ。

オレマエニデンワリョウキンタイノウシテブラックリストニノッテルンダ。」



えっ。

最悪だよね。

「オレッテイキテルシカクナイヨネ。

ゴメンナツコニコンナコトゴメンシゴトガンバレヨ。」



なんなの?

このメールの終わり方!

私どうすればいいの?

この時まだナツコが大変なことに巻き込まれるなんて思いもしなかったのである。


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