好きになる瞬間
9.
ナツコはあの時以来ケンイチの態度に不安になってきた。

ナツコはそんなケンイチをなぜか愛しく思い離れられなくなっていた。

その反対にケンイチはいままでとは違い

メールも電話もだんだん少なくなり都合のいいときだけナツコにメールしてきた。

「スマップノCDホシイナァナツコホシイヨォ」

「ジブンデカエバイイジャン」

「オレカネナイシ・・・」

「ワタシダッテナイヨ」

「ジャイイヨ!」

何なのよ!

なんで逆ギレされなきゃいけないのよ。

私のほうが頭にくるよ。

「ゴメンナツコ

オレシゴトノコトトカ、

イモウトノコトトカデ

アタマノナカガグジャグジャデ

コンナオレイヤニナルヨネ」

いつもいつもケンイチは自分を責めている。

よほど人に対して不安になっているんだ。

{私のことそんなに信用できない?

私はケンイチのこと大好きだし、

信じてるし裏切らないよ。}

{ありがとう。

俺ナツコにやっぱり甘えているんだよね。

こんな俺に優しくしてくれてありがとう。

でも俺はナツコになんにもしてあげられない。

こんな俺にナツコはきっと呆れてしまうよ。}

{そんなことない、

だって私はもうケンイチのこと好きになっているんだもの。

なんか運命の人って感じだなぁ}

{何でそんなこと言えるの?

まだお互いわかっていないのに・・・

楽しくやっていこうよ。

今こうして電話やメールのやり取りしているのがとっても俺楽しいんだ。

ナツコはそう思わない?}

{うん楽しいよ。でもこうして出会えたってことはやっぱ運命なんだよ。

あたしもこうして電話やメールのやり取りしててとっても楽しいよ。}

{それじゃとにかく楽しくやろうよ。

さっきはゴメンな。無理なこといって。}

そんな優しいケンイチの言葉にますます心が奪われていくナツコだった。
< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop