ファーストキス?
「お母様、なんですか?」

「あのね。」

といいながら、私たちはいすに座った。
お母様は、今までにないくらい真剣な顔だ。


「あのね、潤也がジュニアに入ったころから考えてたんだけど。」

「まさか、引っ越すんですか?」

「そのまさかよ。」

「でも、私はいきませんよ。一人でも残るわ!!」

「そういうと思ったわ。残るのはいいわ。」

「いいんですか?」

「ええ。ただしこの家ではないのよ。」

「どこですか?」

「私のお友達の家に預かってもらうことにしたわ。」

「お母様のお友達はなんていうのですか?」

「あなたと同い年の男の子がいる、浅田さんっていう人の家よ。」

「浅田さん!?」


お母様と芳樹のお母様って、友達だったの?
てか、私を預けるくらいだから、相当昔からの付き合いで仲がいいってことだよね?
マジでありえない・・・


「ええ。確か子供の名前は・・・」

「芳樹。」

「そうそう。なんで知ってるの?」

「クラス一緒なの、それに・・・」

「それに?」

「何でもないですわ!!」

「ちゃんと言いなさい!お母さんに言えないことなの?」

「別にそういうわけじゃないけど・・・」

「じゃあ、言ってよ。お母さん気になるじゃない。」

「あのね、浅田さんの子供の芳樹は、私の彼氏なの・・・」

「芳樹君が、あなたの彼氏・・・」

「別にいいですよね!」

「あなた、本当なの?」

「ほんとです。反対しませんよね?」

「反対?逆に大賛成よ!だって、奈留美の子供よ。いい子に決まってるじゃない!!」

「お母様。ありがとうございます。」



芳樹のお母様って、奈留美って名前なんだ。
お母様のお友達なんだから、優しい人に決まってるよね。


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