土曜日に恋
「ねえ翔くん…1個だけ聞きたいことあるんだけど、いい?」
あたしは、翔くんから少し離れた。
ほんの少し離れただけで、目の前には翔くんが変わらずいるのに、あたしはとっても寂しくなった。
「なに?亜衣、どうしたの?」
別に、翔くんを疑っているわけではない。
それなのに、あたしの口からは言葉が何も出てこなくなってしまった。
翔くんは、あたしの頭に優しく手を置いて、「何かあった?」と言った。
たったそれだけで、あたしの緊張は解けて、口はちゃんと動きだした。
「翔くん、去年付き合ってた彼女とは別れたの?」