土曜日に恋






翔くんは、あたしの目を見なかった。





「それは…?何に対しての『ごめん』なの?」





泣いているつもりは無かったけれど、あたしの目には、涙が溢れている。






「亜衣、ちゃんと説明させて。あと…泣かないで聞いてほしい。」






翔くんは手を伸ばしてあたしの涙をぬぐって、そのまま自分の方にあたしを引き寄せた。





本当は、こんなふうにして聞く話じゃないのはわかってる。





でも、翔くんを肌で感じていないと不安で、ここにいるはずの翔くんが消えてなくなりそうだから。




だからあたしはこうして翔くんの話を聞く。







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