土曜日に恋
あたしはお母さんの顔を見た。
なんとも言えない微妙な顔。
「…うん。あのさっちゃん。お母さんの大学の同級生のさっちゃん。」
「え?じゃあなんであたしに頼むの?」
クールなのが長所のあたし。
ポーカーフェイスが得意なあたし。
お母さんには冷静そうに見えているのかもしれないけど、頭の中は混乱しすぎてる。
意味が分からない。
「今日さっちゃんと電話してて、亜衣が勉強教えるの上手いって話してて…さっちゃんの子どもにも教えてあげるって言っちゃったの…」
「流れで教えるって言っちゃったの?」
「うん。ごめん…」
謝ってる。何か言わないと。
でも、何?なんで?
とりあえず返事。
「仕方ないもん。良いよ。何時に行けば良い?」
「本当にごめんね。10時に来て欲しいって。」
「わかった。行ってくる。ごちそうさま。」
そう言ってあたしは部屋に戻った。