桜×恋



自転車置き場に自転車を置き、私は教室に行くより先に中庭へ向かった。

朝の桜は満開ではないけど、それでも十分綺麗だ。


一番大きい桜の木に近づく。


「いないし…」


昨日の男はいなかった。


「待ってる」ってゆう言葉に、てっきり朝もいるのかと思ったけど…


いや、あの男はまだ学校に来てないだけかもしれない。


待ってやる、と私は始業ぎりぎりまで中庭で桜を眺めた。


だんだん暖かくなってくる日差しと、ざわざわ揺れる桜を見るのが心地よくて


飽きることなく桜を見続けた。


結局あの男は来なかった。


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