桜×恋


「さっき俺のこと好きって言った葉月ちゃんはどこいったの?」


「そんなの最初からいない」


私は立ち上がって桜の木を見上げた。


うん、今日も咲ききったね。


「じゃあ私、帰る」


「えっ」


「もう夜遅いし、昨日みたいに見つかったらやばいから」


「あ、なんだ。俺がふざけたこと言ったから呆れられたのかと思っちゃった」


「それもある。自覚してんならやめてよね」


「ありゃ」


参ったとばかりにぽりぽり頭を掻く桜に反省の色は見えない。


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