恋風船
私はこの前に行った映画館に行った。

拓夢サンがいると思ったから。


「お客様っ?」

私は映画館の売店の人に声をかけられた。

「この前に一緒に来ていた男の人から『風香ちゃんに渡しといてくれ』と手紙を預かっているのですが...」

そう言って売店の人は手紙を差し出した。

私はさっそく中を見た。

『風香ちゃんへ

実はおれ、カナダに留学することになったんだ。

せっかく仲良くなれたのに本当にごめん。

最低でもあと5年はカナダにいることになるんだ。

別に、おれを待たなくてもいいけど

これだけは言わせてほしい。

ありがとう。


拓夢より』

ぼろぼろと涙がでる。

涙が頬を伝っていく。

「拓夢さん!

私のことおもしろいって言ってよ。

もう1回言ってよ。」

涙で上手くしゃべれない。

もう拓夢さんとは会えないんだ。

もう拓夢さんと話せないんだ。

もう拓夢さんにおもしろいって言われないんだ。

..........


私の想いは


風船みたいに


どこかへ飛んでいった
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