キャンディ
「帰りが早そうだったら、家の鍵持ってってね?」
「なんで!?」
思わず驚くあたし。
「だって、その日は家に誰もいないでしょ?」
「奈津美さんとお父さんは?」
問いかけると、奈津美さんの代わりに慶にぃが答えた。
「二人でディナー食いに行くんじゃん」
その言葉に、奈津美さんは少し照れながら微笑んだ。
そっか…。
「貴にぃは彼女とデートだよね?」
「うん」
貴にぃが、おかずの唐揚げをお箸でつまんでから頷いた。
慶にぃに視線を移す。
「…真衣、もしかして予定ないの?」
慶にぃはあたしを見て、そう言った。
「そ、そんな独りぼっちの人みたいに言わないでよ…」
無意識に声のトーンが下がっていく。
「え、まじで?」
何故か半笑いの貴にぃ。