キャンディ
慶にぃの部屋のドアをノックした。
「入っていい?」
「どーぞ」
この前、危ないとこを見てしまって以来、ノックしてちゃんと返事を聞いてから入ることにしている。
あたしは慶にぃの部屋に入って、さっきのCDを差し出した。
「これ。ありがと。」
「あー、真衣に貸してたんだ。失くしたかと思ってた」
「遅くなってごめんね」
「いいよ」
慶にぃがCDを受け取った。
「じゃぁ…」
「真衣」
部屋を出ようとしたあたしを、慶にぃは呼び止めた。
「クリスマス…一緒に過ごす?」
慶にぃの言葉に、あたしは大きく目を見開いた。
「何言ってるの!
恋人達の聖なる夜だよ?彼女と過ごさなきゃ駄目じゃん」
「真衣の方が何言ってんだよ。ってか俺、彼女いないし」
「だってこの前の…」
「だから、あの人は彼女じゃねーから」
「あんなことしてたのに…?」
遠慮がちに聞いた。