キャンディ
「慶ちゃん、お帰り~っ」
「ただいまー」
気づけば、そんな冗談にも、のってもらえるくらい仲良くなっていた。
慶ちゃんは、学校帰りに毎日のように貴にぃの部屋へとおじゃました。
あたしもその部屋へと足を運ぶ。
何をするでもなく、ただ三人で時間を過ごした。
時折、世間話みたいな会話をして、基本的に自分のやりたいことをする。
「真衣。こっち来てみ?」
ベッドに寝転んでた慶ちゃんが、自分の隣に一人分のスペースを作り、そこをトントンって叩いた。
あたしは迷わずそのスペースに身を収める。
慶ちゃんと二人並んでベッドに収まるのが、何よりも一番落ち着いた。
何故か妙にリラックスできて、それが好きだった。
だからいつの間にか、そこがあたし達の特等席になっていた。
この頃のあたしはまだ小4。
思春期でもないし、女としての色気もない。
あたしが慶ちゃんに変な意識を持つこともなければ、慶ちゃんがあたしを襲うこともなかった。