キャンディ

――「はい。」


リビングに下りてきて、目の前のテーブルに昨日のケーキが置かれた。



「え、これ大丈夫なの?」


冷蔵庫に入れ忘れたままだったのに。


「さぁ?食べてみて」



あたしが毒見しろってことですか…?



それには口をつけず、あたしはティーポットで紅茶を淹れた。



ふいに見ると、貴にぃは部屋着ではなく、外出するかのような服装をしている。


「出かけるの?」

「今帰ってきたの」



朝帰り。

だからこんな早い時間に貴にぃが起きてるんだ。


一人で納得した。




「貴にぃ」

「何?」


貴にぃは、今淹れたばかりのコーヒーを一口飲んだ。



「さっきの…あたしと慶にぃのこと、お父さん達には内緒にしてくれる?」


「なんで?」


< 120 / 224 >

この作品をシェア

pagetop