キャンディ
――「はい。」
リビングに下りてきて、目の前のテーブルに昨日のケーキが置かれた。
「え、これ大丈夫なの?」
冷蔵庫に入れ忘れたままだったのに。
「さぁ?食べてみて」
あたしが毒見しろってことですか…?
それには口をつけず、あたしはティーポットで紅茶を淹れた。
ふいに見ると、貴にぃは部屋着ではなく、外出するかのような服装をしている。
「出かけるの?」
「今帰ってきたの」
朝帰り。
だからこんな早い時間に貴にぃが起きてるんだ。
一人で納得した。
「貴にぃ」
「何?」
貴にぃは、今淹れたばかりのコーヒーを一口飲んだ。
「さっきの…あたしと慶にぃのこと、お父さん達には内緒にしてくれる?」
「なんで?」