キャンディ
――「てか、なんでそんなに家族に隠そうとすんの?」
隣で歩く慶にぃがあたしに言った。
「何となく、恥ずかしいし…」
俯きながら答えた。
「まぁ…いいけど」
そう呟いた慶にぃは、ちょっと不満そうにも見えた。
あの後、貴にぃにそれ以上言われると困るので、あたし達は外出することにした。
や、貴にぃを1人残しちゃったほうがやばかった?
それより、まず2人で出かけるほうが怪しまれるかもだけど…
でもせっかくのバレンタインなので、デートしよってことになって。
「家に居るより、外で歩いてるほうが恋人って感じするね。」
繋がれた手を握り直して。
目が合えば、慶にぃは笑顔で聞いてきた。
「どこ行きたい?」
「んーとね…」
「あ、慶じゃん?」