キャンディ
「慶くんって……
あの慶ちゃん?」
「うん、そうだよ。」
一瞬、信じられなかった。
「だって……その、慶ちゃんのお父さんは??」
「慶の親父は慶が小さい頃に亡くなってる。交通事故で。」
あたしの質問に、貴にぃが答えた。
そんな話、聞いたことがなかった。
て言うか、そんな話題になったことがない。
あたしは、慶ちゃんのことを何も知らなかった。
慶ちゃんは小さい頃にお父さんを亡くしてから、ずっと一人っ子で母子家庭だったらしい。
もしかしたら…
だから、いつも心寂しくて貴にぃの部屋に来てたのかもしれない。
母親のいないあたしが、いつも貴にぃにくっついて行くように。