キャンディ
その後、美咲ちゃんに再びたっぷり引っ張られて、日が沈みかけの頃に帰りの電車に乗った。
さすがに超はしゃいでた美咲ちゃんは、すやすやと寝息をたてて眠っている。
「子供って元気だよねー」
「何その言い方、お前何歳だよ?」
すかさずつっこみを入れて、笑う貴にぃ。
「うるさいなー。貴にぃこそ、バテバテだったじゃん?」
いつもの言い合い。
「2人、ほんと仲いいよな?」
「ぜんぜん仲良くないもん!!」
他人事のように言う慶にぃに、あたしは即答した。
それを見て、慶にぃは「可愛い」って、愛しそうに笑ってくれる。
時折ふと見せる、ただの兄妹じゃない瞬間の表情が、あたしの胸をきゅんってさせる。
あたし、慶にぃにデレデレかも…なんて思ってみたりして。
「でも…なんかいいよね。こういうの」
「え?」
あたしの顔を見つめる慶にぃ。
「…子供欲しいなぁとか、思っちゃう」
笑って話すあたしとは反対に、慶にぃは目を真ん丸くさせる。