キャンディ
――その直前に、あたしと慶にぃの間に割って入ったのは、美咲ちゃんだった。
「人前で、はしたないよ!」
美咲ちゃんは、ほっぺを膨らませて言った。
そんな言葉、一体どこで覚えたの…?
不思議に思いながらも、キスの直前で邪魔されたことがちょっと悔しくて。
本人曰く、慶にぃのことが好きらしいから、妬いてるのかな…
「てか、いつの間に起きたの?」
「今起きたの。着いたんだって。」
見ると、貴にぃが席を立つところだった。
「俺らも行こっか。」
「うん。」
そう言って、慶にぃの手に自分の手を重ねようとしたら、すでに先着あり。
その小さな手をした美咲ちゃんを見ると、勝ち誇ったような笑顔であたしを見た。
悪いけど、美咲ちゃんが憎たらしく見えちゃうわけで。
なんだか美咲ちゃんとは、上手くやってけそうにない予感…。