キャンディ

「慶ちゃん……」



いつの間にか辺りはオレンジ色で、水で濡れてるせいか、少し肌寒い。



「何やってんだよ!風邪ひくだろ」


「っ……っく…」


気づけば、溢れ出す涙と嗚咽が止まらない。



慶にぃは、あたしを抱きかかえて、川から上がらせた。


「…なんでっ……慶ちゃん…」


「美咲ちゃんが泣きながら電話してきたから。『おねーちゃんがぁ~』って」


言いながら歩く慶にぃの足元は、あたしのせいで濡れちゃってる。



「慶ちゃん……たし、ネックレスなくしちゃった…」


「なんだ。それ探してたの?だからって、こんなびしょ濡れなんなくても」


「ごめんね…」



「俺は、真衣が風邪ひくほうが心配。」




慶にぃは…どこまで優しいんだろ……




優しすぎて



慶にぃの腕の中はあったかすぎて



なおさら涙が止まんないよ



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