キャンディ
家に着くと、美咲ちゃんが玄関に座って待っていた。
「…おねーちゃんっ」
立ち上がった美咲ちゃんの瞳は、うるうると涙でいっぱいで、頬にはそれが伝った跡がある。
「おねーちゃん、ごめんなさい…」
そう言って、美咲ちゃんは小刻みに震える手をパーにして、あたしの前に差し出した。
「え…なんで……」
そこには、さっきまでどんなに探しても見つからなかったあのネックレスがあった。
「ほんとは、投げてなんかなかったの。」
「でも…たしかに『ポチャン』って」
「あれは、落ちてた石を投げたから。」
だからあのとき……
「ほんとにごめんなさい…。」
「んーん、もういいよ。あたしこそ、最悪とか言ってごめんね?」
美咲ちゃんからネックレスを受け取って、見てみた。
それは今までと何も変わってなくて、首につければ、きらりと輝いた。
「良かった……」