キャンディ
「真衣、まだ髪の毛ぬれてる」
あたしの髪を、指にからめるようにして触れる慶にぃ。
「あ、お風呂上がったばっかだから…」
慶にぃのそのしぐさが、なんだか色っぽく見えて、伏し目がちにそう言った。
「…っくしゅんっ!」
変なくしゃみが出て、慶にぃが少し笑う。
「ほら、座って。」
言われた通り鏡の前に座ると、慶にぃが置いてあったドライヤーであたしの髪を乾かし始めた。
いつもは自分でやるけど、慶にぃの優しい手に触れたくて、何も言わずにじっとした。
鏡越しに、慶にぃの顔を見つめるあたし。
すでにお風呂に入った慶にぃの髪は、外出の時と違ってぺたんこ。
ちょっと可愛いかも。