キャンディ
次の日。
目が覚めると、隣に慶にぃの姿はなかった。
リビングへ降りてみたら、すでに慶にぃは起きていた。
「おはよっ」
「おはよ。」
慶にぃと挨拶を交わして、いすに座る。
「お父さん」
「ん?」
「今日…夜ご飯に間に合うように、帰ってきてほしいの。」
お父さんだけでなく、奈津美さんもあたしを見た。
慶にぃも、少し目を見開いてあたしを見ている。
「何かあるのか?」
「うん。言いたいことがある。」
お父さんをまっすぐに見つめた。
「わかった。」
いつにない空気がダイニングに流れる。
慶にぃを見ると、何も言わず微笑んでくれた。