キャンディ
その瞬間、驚きで言葉が出なくなった。
『母親』??
「うそ…?」
目の前にいる、あたしの母親だと言ったその人は、はにかむように微笑んだ。
「良かったら、どこかでお茶しない??」
小さい頃、まだ記憶も不確かで、難しいことはよくわからなくて、
そんなときに、お母さんは出ていった。
「貴、真衣、ごめんね。2人にはお父さんがいるからね。」
最後に言われた言葉。
顔もはっきり覚えていなかったけど、それだけは記憶の隅に残っていた。
そして大きくなってから、お母さんは男の人と大阪に住んでると聞いたことがあった。