キャンディ
「…なんで?」
「ちょっと前に、こっちに戻って来たの。」
お母さんの表情を見ると、今も男の人と一緒ではなさそう。
どこか疲れていて、
当たり前だけど、うっすらと覚えてる昔のお母さんよりも、しわが増えていた。
「ほんと、真衣はお姉さんって感じがするようになったね。
それもそっか。もう高校生だもんね…」
お母さんは、ブラックのコーヒーを一口飲んだ。
…え?
「あたしの年齢、覚えてるの?」
「もちろんよ。私にとって、今でも真衣はたった1人の娘なんだから。」
胸の辺りにじーんときた。
お母さんは浮気して、そのまま出ていったから、あまりいいイメージはなかったけど…
やっぱりあたしにとっても、産んでくれた母親はこの人だけだから。