キャンディ
「貴は元気?」
「うん、元気。」
「そういえば、真衣、彼氏とか出来た?」
あたしを見つめるその瞳は、まるで現役の乙女みたい。
「…うん、まぁ。」
曖昧に返事するあたし。
「やっぱり?じゃぁ、あのときの子、彼氏じゃない?」
『あのとき』…?
「ほら、ちょっと若者向けのアクセサリーショップの。」
慶にぃと行ったアクセサリーショップは、あそこしかない。
2人でペアネックを買ったお店。
「あっ」
「あのとき、真衣のこと見つけて声をかけようとしたんだけど…
彼氏と一緒だったみたいだし。」
思い出した。
店員さんの話を聞いてる途中で、じっとこっちの方を見てきてる人が確かにいた。
あれはお母さんだったんだ。