キャンディ


『名前、もう決めたっ?』


『まだなんだけどね、男の子なら、“慶”にしたいなーって勝手に思ってて。』


『そっかぁっ』



笑って話す奈津美さんは、ほんとに幸せそうで、暁美はつられて笑みが零れてきた。




『英彰くんは、このこと聞いたとき、喜んでた?』


そう問いかけた瞬間、さっきまでの笑顔は消えて、奈津美さんは泣き出してしまった。



『どしたの!?大丈夫??』




奈津美さんは小さく頷いて、






『英彰がね…誰の子供でも俺が育てるって言ってくれたの…。』







涙を流しながら、そう言った。




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