キャンディ
「真衣は貴にぃより慶ちゃんの方が好きだし」
そう呟くと、慶ちゃんは一瞬動きを止めてから口を開いた。
「やっぱ真衣、ブラコン?」
「なんで??」
「俺も今日から真衣の兄ちゃんでしょ?」
「じゃぁ慶ちゃんと貴にぃはどっちの方がお兄ちゃん??」
「あ?…んーっと…」
慶ちゃんは考える素振りをみせる。
「真衣。」
話の途中で、お父さんに声をかけられた。
「慶くんは今日から真衣のお兄ちゃんなんだから、「慶ちゃん」って呼ぶのはやめなさい。」
あたしと慶ちゃんは、顔を見合わせた。
「じゃぁ……慶にぃ?」
この時はまだ呼び慣れないその呼び名がなんだかくすぐったくて、二人で笑った。