キャンディ
階段を上っていると、慶にぃが偶然、下りてきた。
何も言わずに、通り過ぎようとする慶にぃ。
「…慶にぃ」
気づけば、あたしは振り返って慶にぃを呼び止めていた。
「何?」
「……そんなに…冷たくしないで?
普通に…してほしいよ…」
我慢してるのに、声が震えた。
「……っ」
慶にぃは、あたしの前まで来ると、あたしをじっと見た。
そして、手を伸ばして抱きしめてくれると思ったら、その直前で手を引っ込めた。
「ごめん。
普通にしてたら、たぶん真衣のこと、いつまでも兄妹として見れないと思うから」