キャンディ
いつの間にか、瞳に溜まった涙は溢れて頬に落ち、口からは想いがこぼれた。
奈津美さんも、お父さんも、貴にぃも、
そして、慶にぃもあたしを見た。
「行かないで!やだよ、離れたくないっ。
慶ちゃんっ、ずっと一緒にいたいの!」
自分でも、何を言ってるのかわからなかった。
だけど慶にぃは、すぐにあたしに近寄って、いつもみたいに抱きしめてくれた。
その大きな腕で。
あったかい体温で。
優しく。
「んなこと言われたら…行けないじゃんっ」