キャンディ



―――『さっきはごめん』




家に着いて携帯を見ると、タケルからメールが来ていた。


返事をする気にもなれない。





「真衣?」




すぐに自分の部屋へ入り込んだあたしを不思議に思ったのか、ドア越しに慶にぃの声が聞こえた。




「何かあった??」


その声から想像できる優しい優しい顔が、今すぐ見たい。






ドアを開けると、予想以上に心配げな表情を浮かべた慶にぃが立っていた。



涙で濡れてるあたしの顔を見た慶にぃは、目を丸くして言った。


「どーした!?」


「…なんでもないよ」

あたしは首を横に振る。


「そんなわけないじゃん。とりあえず俺の部屋行こっ」





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